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オランダの各地域で展開するハーム・リダクション

 オランダでは、医療機関が提供する依存症医療の他に、地方自治体の保健センターや民間団体などがコミュニティ・ケアや社会的ケアというかたちで、物質使用や依存症の問題をもつ人々へのさまざまなサービスを提供している。地域で展開されるハーム・リダクション・プログラムは、「アウトリーチ(outreach)」の要素と「使用障壁の低いサービス(low-threshold service)」の要素が重視され、社会福祉面での支援を目的とした社会的ケアとの統合が進んでいる。また、それが望ましい形とされている。地域のハーム・リダクションでは、たとえば、注射器交換や薬物使用ルームはそれ単独で実施されているということは少なく、それぞれがホームレス・シェルターやドロップインなどに付設されている。また、診療所・クリニックが提供主となってプログラム展開されている。

 オランダの薬物問題施策では、周縁化・不可視化しがちな薬物使用者たちの社会的再統合(social reintegration)が重視されている。地域のハーム・リダクション・プログラムでは、薬物使用者とコンタクトを採ってそれを維持することが第一の目標である。そして、つぎに、ハーム・リダクション・プログラムを通して、薬物使用者たちに何らかの医療(treatment)に参加する「動機をもってもらう」ことが目的となる。この二つをとおして、いわば、行政の視点でいえば、薬物使用者を社会制度に誘導し、問題の沈潜化を防止しているわけである。また、opium act (日本の麻薬五法)の「プラグマティックなpragmatic」適用によって、犯罪性の高くない個人の薬物使用は逮捕・起訴されないので、薬物使用者個人の視点からいえば、薬物使用を隠すことなく利用できる社会的ケアは利益が多いものと目にうつる。そのプログラムは、薬物使用者の生活する場所で展開される。そして、アウトリーチ・ワーカーやプログラムのスタッフたちが、「クスリをやめてみませんか」とプレッシャーをかけないことが、なおいっそう利用しやすさを高めている。

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