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オランダの依存症患者は断薬を目指さないか〜ヘロイン使用者の場合
維持療法を受けることができるなら多くの患者が断薬を選択しないのでは、という予断は決して誤りではない。オランダで、医療につながっているヘロイン使用者のうち、維持療法を受けている人は約7割と多勢を占める。ただし、逆にみれば3割の人は断薬をゴールとする治療を選択しているということである(図1)。しかも、推定1万4千人のヘロイン依存症者のうち86%が医療につながっていると試算されている。また、注目したいのは、ヘロイン使用者の総数が縮小してきていることである。薬物使用ルームやヘロイン維持療法での、「監督されながら薬物を使用する」イメージが、ハード・ドラッグ・ユーザーのあたらしい表象となり、若い世代にアピールしなくなった結果だと解釈されている。ハード・ドラッグ使用は、かつてそうであったような「反逆」のシンボルではなく、いまや「従属」のイメージとなっているのであろう。